DINER ( Web Magazine )

September 2017

ポートランドの一流シェフが、
ファーマーズマーケットでお買い物

category / Interview
( 2015/05/25 )

RE:TRIP TO PORTLAND

ポートランドの5つ星ホテル「The Nines」に店舗を構える人気レストラン「Departure Restraunt+Lounge」のシェフ、グレゴリー・ゴールデッドさん。『TRUE PORTLAND the unofficial guide for creative people 創造都市ポートランドガイド』の2015年版の発売に合わせて来日した彼によるスペシャルランチイベントを訪ね、ファーマーズマーケットのこと、サードウェーブコーヒーのことなど、ポートランドのフードカルチャーについて聞きました。

スペシャルランチの食材を探しに青山へ

ゴールデンウィークまっただ中のよく晴れた休日。一つの大きなテーブルをゲストが囲み、コースの合間にグレゴリーさんのトークを挟みながら振る舞われたのは、「今日の天気に合うような、明るくて心がふっと軽くなるような」ランチ。実は、イベントの前日にグレゴリーさんは青山ファーマーズマーケットに出かけ、スペシャルランチのための食材を購入していました。

新鮮な野菜を求めて青山ファーマーズマーケットへ新鮮な野菜を求めて青山ファーマーズマーケットへ

ファーマーズマーケットでは、海外メディアのカメラマンに「一緒に写真を撮ってくれませんか?」と声をかけられるほどの人気シェフが購入していたのは、トマト、たまねぎ、きゅうり、フキの葉、たけのこ、ほうれん草、にんにく、そしてハーブを数種類。さらにレシピが書かれたメモを片手に、削り節も数種類をテイスティング。

お買いものリストが書かれたメモを片手に食材探しお買いものリストが書かれたメモを片手に食材探し

生活に寄り添うポートランドのマーケット

「日本と同じように四季があり、季節の食材がある」というポートランド。『TRUE PORTLAND』によれば、街の至るところでファーマーズマーケットが開催されているそうです。日本でも、ここ数年マーケットが増え続けていますが、ポートランドのマーケットと、日本のマーケットの違いはあるのでしょうか?

—日本では、青山ファーマーズマーケットをはじめとした週末のマーケットが増えてきています。野菜はもちろんのこと、お菓子を売ったり、クリエイターが参加して雑貨を売ったりしています。また、お店の見せ方など、デザイン面に配慮されたマーケットが多いことは、日本らしい部分ではないかと思っています。ポートランドのマーケットと、日本のマーケットの違いはありましたか?

天気も良く午前中からにぎわうマーケット天気も良く午前中からにぎわうマーケット

青山ファーマーズマーケットを見て面白かったのは、ジャムなどの加工品を売っているお店が‏たくさんあったこと。‏ポートランドの場合も野菜を中心にいろいろとあるけども、パッケージングなんかも含めてこの青山ファーマーズマーケットの加工品は完成度が高いと思ったよ。

見ているだけで楽しくなってしまう加工品の陳列見ているだけで楽しくなってしまう加工品の陳列

—日本でファーマーズマーケットは増えてきていますが、一般的な人々の日々の暮らしの中では、まだまだ「週末の楽しみ」のような特別な存在です。ポートランドの人々にとっては、もっと日常的なものですか?

何世代も続いてファーマーズマーケットに出店している人々がいたり、そこから会社になっていったりすることもあるので、より人々の生活に近いものとは言えるかもしれない。ファーマーズマーケットでの販売に人生をかけている人も多い。それと、日本でも同じかもしれないけれど、ポートランドのマーケットではシェフが普通に買い物をしている。そのときには「あの野菜はあるかな?」という感じで行くのではなくて、行けば必要なものが必ずそこにある状態。それも、より生活に密着している理由としては大きなポイントかな。

たけのこも丸ごとお買い上げたけのこも丸ごとお買い上げ

限定20名の贅沢なスペシャルランチイベント限定20名の贅沢なスペシャルランチイベント

素材から料理のプロセスまでを学ぶこと

—話は変わりますが、日本では今年、サードウェーブのコーヒーショップが増えました。特にブルーボトルコーヒーの上陸が話題になったのですが、オープン後はお店に入るのに何時間も待つほどの行列だったのです。ポートランドに、こういった行列はありますか?

ポートランドにはコーヒーショップが多いし、そのどれもがおいしいから並ぶ必要がそもそもないんだよね(笑)。

—よく行くコーヒーショップはありますか?

味は似ていても雰囲気が違うから、いろいろなところに行くよ。スタンプタウンコーヒーロースターズ、コアヴァコーヒーロースターズなど、選り好みはせず足を運ぶね。

お店と自分の名前を胸に印字したユニフォームも素敵お店と自分の名前を胸に印字したユニフォームも素敵

—日本では、食のブームは急速なスピードで変化していきます。最近ではパンケーキやポップコーンが流行りました。ポートランドに、このような一過性のブームはありますか?

笑。それって、例えばポップコーンが流行したら、パンケーキのカルチャーは消えてしまうの?

—突然消えることはないですが、徐々に移り変わっていきます。

ポートランドで起きることは、もともとヒストリーがあるもの。だから、いきなり外から来たものがトレンドになることは少ない。仮にトレンドが起きたとしても、一時的に盛り上がり次から次に移り変わるのではなく、一つのものが発展して定着することが多いんじゃないかな。例でいうと「Pop-Ups(ポップアップス)」というムーブメントがあった。それは、まだお店を出していない人がキッチンカーなどで料理を振る舞い、その料理が評価を受けてレストランに発展していくというもの。トレンドに左右される街ではないね。

カフェカンパニーのキッチンにてカフェカンパニーのキッチンにて

—最後に、今後のフードシーンにおける展望を教えてください。

あくまでも学び続けること。今、自分が働いているレストランが入っているビルの屋上には、養蜂と農園があるんだ。そういった素材から料理までのプロセスを、どう自分で体得して学んでいけるか。農家、漁師、家畜を育てている人。素材を作っている人たちのそばで学んだことを、自分の料理に生かしていきたいね。

イベント後の1枚をシェフ仲間とともにイベント後の1枚をシェフ仲間とともに

 

グレゴリー・ゴールデッドグレゴリー・ゴールデッド 5つ星ホテル「The Nines」に店舗を構えるレストラン「Departure Restraunt+Lounge」の人気シェフ。世界一の料理大学とも称されるニューヨークのCIAを卒業し、ニューヨークのレストランで料理長としてキャリアを重ねたのちにポートランドに移住。地元の素材を日本、中国、タイ料理などを融合したアジア料理を提供している。

TRUE PORTLAND the unofficial guide for creative people 創造都市ポートランドガイド Annual 2015

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発行人   黒崎輝男
発行元   BRIDGE LAB
発売元   メディアサーフコミュニケーションズ株式会社
公式サイト http://truepdx.com/

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「どこで、だれと、なにを食べようか?」

DINERは「食事の時間」をテーマにしたウェブマガジンです。2014年春、Food & Design Postというニュースサイトとしてスタート。2016年春のリニューアルを経て、現在は東京の飲食店取材を中心に活動しています。2017年春には、ノンアルコール飲料ブランド「SHE LAUGHS」も始めました。