DINER ( Web Magazine )

June 2017

5,000円で「気持ちよい暮らし」を手に入れる。
FOOD&COMPANYで考える、お金の使い方

category / Interview
( 2016/03/07 )

お金のこと。
口に出すのは恥ずかしい気持ちがしたのですが
クリエイティブな仕事をつきつめていくにつれて、
なぜか、お金に興味がわいてきた今日このごろ。
お金は評価であり、信頼であると考えれば、
それは、自然なことでしょうか?

「消費者がお金を使わなくなった」。
時代のムードとしては、そんな声も聞こえています。
でも、すぐにまったくお金を使わなくなるなんて、想像できません。
それでは、どうお金と付き合っていけば、幸せになれるのでしょうか。
今、最も価値のあるお金の使い方とは、何でしょうか。

自分の身近にいる人たちの考えを知りたくて、
ほんのわずかなお小遣いを握りしめ、
学芸大学のFOOD&COMPANYさんを、訪れました。

FOOD&COMPANYFOOD&COMPANY 2014年にオープンした、学芸大学にあるグローサリーストア。オーナーは、白冰さんと谷田部摩耶さん夫妻。「日常からなにかを変えていく」ことを目的に、1980年代生まれの新鮮な感覚で自分たちの基準に沿った食材を紹介している。

food & company

食に、お金を使う人たち

― 今回の企画は、「価値のあるお金の使い方」がテーマです。
「FOOD&COMPANYさんで、オーガニック食材を買おう!」
と目標を立てて、ここにやって来ました。

谷田部さん ありがとうございます。

― なぜなら「価値のあるお金の使い方」の中でも、
「食」に関する内容で、その価値を実感したいと考えていまして。

谷田部さん なかなか抽象的で、難しい内容ですね。

― そうですよね。唐突に、すみません。
お金のことって、なかなか表現するのが難しくて。
FOOD&COMPANYさんに来たのは、
「食に価値を置いて、そこにお金を使う人が集まっている場所」
をイメージして、真っ先に思い浮かんだことが理由です。
実際には、どんなお客様がいらっしゃいますか。

谷田部さん うーん、そうですね。
なぜ、私たちの店で買ってくれるのかというと、
いろいろな理由があると思います。

― どんな理由ですか?

谷田部さん 有機の認証にこだわる人もいれば、
作り手が見える食材を買いたい人もいる。
私たちとのコミュニケーションが好きで買ってくださる人もいます。
オーガニックな食材を扱っているお店ではありますが、
それを全面に出しているわけではないので、
ほかの自然食品店より、お客様の幅は広いと思います。
外観など何かしらのきっかけで入ってくださって、
そこで私たちがどんな想いでお店をやっているかを知り、
愛着を持って常連になってくださる方もいます。

food & company

「気持ちのよい暮らし」に、お金を使う

― ちなみに、オーガニック食材は少し高いイメージがあります。
それでも「選びたい」という人はお金にゆとりがあるのでしょうか?

白さん それだけではないと思います。
例えば、服が好きな人は月に何万円と服にお金を使うように、
食に価値を見いだして、納得して買っている。
その理由は、先ほども言ったように人それぞれですが。

― 食に価値を見いだしている人たちは、
どんなことを考えているのかなあと漠然と考えてみたりします。

白さん 最近、とある企業さんとも話をしていたのですが、
「健康に暮らしていくこと」だとは思います。
ただ、それがいわゆる「トクホ」のような分かりやすい健康ではない。

― と、言いますと?

白さん 「生き方や暮らし方が健康的である」ということだと思います。
気持ちよく毎日を暮らしているということが価値。
その気持ちよさが、有機栽培という方法なのか、
店で過ごす時間なのかは、人によって違うとは思いますが。

― つまり、「食が大事だ」ということが先に立つのではなく、
「気持ちよく暮らしたい」という希望の中に、「食」があると。
その価値に、お金を払うということですね。

白さん そうですね。時代のムードとしては、
「お金を貯めてハワイ旅行へ行こう!」という感じではなくて、
「いかに毎日を気持ちよく暮らすか」ということの方に、
価値を感じるようになっているのだと思います。

food & company

投票をするように、お金を使う

― 今日、もう一つお伺いしたかったことが、
お二人にとって「価値あるお金の使い方とは」ということです。

白さん 個人にとって価値のあるお金の使い方というのは、
人それぞれなので、それを定義することは短絡的だし、
あまり決めつけたくはないです。
一方で、社会的なお金の使い方ということで考えると、
自分が賛同できる会社や商品に使いたいと思います。

― どのような、使い方ですか?

白さん 例えばメーカーさんが商談に来て、
自分たちが「応援したい」と感じたら、
例え利益が出にくい商品だとしても、まずお店に置いてみる。
ほかの売れ筋商品があれば、そのスペースを譲ることはチャンスロスです。
それでも、私たちは応援したい商品を優先して置く。
そして、その価値を伝えて、売れるように努力することが
自分たちの役割だと思っています。

― その考え方には、とても共感します。

白さん お金を使うことは「投票」みたいなことです。
心から応援したい企業にお金を使うことで、その会社が成長していく。
それが、私たちにとっては価値のある使い方だと思います。

― そのお話を聞いて、何だか気分が盛り上がってきました。
私たちが今日ここで買いものをすることが、
とても意義のある行為に思えてきましたよ。

谷田部さん 私たちがなぜオーガニックの食材を選んでいるかというと、
そういった食べ物が含んでいる価値観、背景、歴史をサポートしたいから。
コーヒーを一つとっても「この人に自分はお金を使っているんだ」
と、ダイレクトに分かる身近なところで循環を生んでいきたい。
この時代に都会で生きていたら、それだけで固めるのは難しいけれど、
自分がどんなバランスをとっているのかに気付くことが大事。
そこに意識を向けるだけで、日々の選択が変わると思います。

― これから「選択をすること」にワクワクしてきたのですが、
ただ、まだ何が欲しいのか、自分でも分からないでいます。
お店に来て、こんな相談をするお客さんはいませんよね。

白さん そうしたら、僕たちが応援したいと思っている人たちの
商品をご紹介しますよ。こちらにどうぞ。

― ありがとうございます!

food & company

FOOD&COMPANYが選ぶ、
本日の「価値あるお金の使い方」リスト
¥5.326

  • オニバスコーヒーの豆 ルワンダ
    最近、中目黒にも新店ができた専門店の豆。
    「僕もよくコーヒーを飲みに行っています」と、白さん。
    ルワンダまで行って直接農園と契約した、
    その名も「ルワンダ」をチョイス。
  • 真砂喜之助製麺所のそうめん
    天日干しでつくられるそうめん。
    細麺、太麺と、くるりとした「ふし麺」から選べました。
    「夏に、お店でワークショップを開催する際には、
    ファンが毎回集まってしまうほどの人気なんですよ」
  • マリールゥのパンケーキミックス
    「牛乳や卵を入れなくても、ふわふわになります」
    との紹介で、思わずカートにイン。
    東京での取り扱い店はまだ少ないとのこと。
    手描きのパッケージデザインもかわいい。
  • 青果ミコト屋の子持ち高菜
    ずっとチャレンジしたいと思っていた
    旅する八百屋 青果ミコト屋の野菜もゲット。
    小分けのパッケージで売られているのも便利。
    「毎週火曜日に入荷される」とのこと。
  • 名人、加瀬農園のにんじん
    「オーガニック業界ではかなり有名」という、
    名人、加瀬さんのにんじん。
    「無農薬で、こんなにきれいな形は至難の業」だそう。
    週末ににんじんジュースを作ろうと思い立ち、購入。
  • たてみち屋の無農薬レモン
    にんじんジュースには、レモンも必要。
    「無農薬なのに、価格もお手頃」と教えていただいたのは
    広島県にある、たてみち屋さんの無農薬レモン。
    ワークショップも開催され、人気だったそう。
  • カーサ・モリミのトマトソース
    「レモンの香りがするオリーブオイルや、
    有機トマトを使ったパスタソースがおいしい」という
    イタリアの食材を扱うカーサ・モリミさんのアイテム。
    ハッと鮮やかなトマトソースをチョイス。
  • きのね堂の焼き菓子
    今や、大人気のお菓子やさん、きのね堂。
    「実は、うちの店長の友人だったので、
    本当に初期のころから取り扱いをしています」と、
    どこよりも多数のラインナップからセレクト。

お金は投票のようなもの。
そして、自分がどんなバランスをとっているのかに気付くこと。
そこに意識を向けるだけで、日々の選択が変わる。

ただ、ぼんやりとお金を握りしめた私たちの質問に、
FOOD&COMPANYさんはその価値観を、丁寧に教えてくれました。

たくさんの買い物をしましたが、
中でもマリールゥのパンケーキミックスが大ヒット!
新しいお気に入りに出会えたことは、
私たちにとって、それだけでも大きな価値となりました。
このお店に、迷わず1票です。

food & company

場所 東京都目黒区鷹番3-14-15
営業時間 11:00-22:00
定休日 無休(年末年始を除く)
公式サイト http://www.foodandcompany.co.jp

( about DINER )

「どこで、だれと、なにを食べようか?」

DINERは「食事の時間」をテーマにしたウェブマガジンです。2014年春、Food & Design Postというニュースサイトとしてスタート。2016年春のリニューアルを経て、現在は東京の飲食店取材を中心に活動しています。2017年春には、ノンアルコール飲料ブランド「SHE LAUGHS」も始めました。