DINER ( Web Magazine )

December 2017

GOOD MEALS SHOPで最高のランチタイム。
2,500円で自分の価値観を見つめなおす。

category / Interview
( 2016/04/04 )

食に関することで「価値あるお金の使い方」を考えたい。
どのような形でお金を使えば幸せになれるのか、
そんなお題のもとに、渋谷のGOOD MEALS SHOPを訪れました。
その理由は「心地よいと思える時間にお金を使いたい」と思ったから。

GOOD MEALS SHOPは、体に優しい手作りの料理はもちろん、
自然体で接してくれる、居心地の良さが素敵なお店。
その「ホスピタリティ」にお金を使いたいと考えたのです。

お店を経営するフライングサーカス代表の三浦武明さんに
「GOOD MEALS SHOPでお金のことを考えたい」と、
コンタクトしてみました。

GOOD MEALS SHOPGOOD MEALS SHOP TOKYO FAMILY RESTAURANTを手掛ける三浦武明さんが2014年に渋谷本店をオープン。手作りのアイスキャンディやナゲットなど添加物や保存料を使わない料理を提供している。2015年には二子玉川ライズS.C 蔦屋家電に新店を展開。

GOOD MEALS SHOP

誰かの「いいね!」よりも、自分の価値観

― はじめまして。今日は「価値あるお金の使い方」について
考えたいと思ってお店にお伺いしました。

三浦さん こんにちは。

― 先日は、同じ企画でFOOD&COMPANYさんを訪ねました
そのとき、今考えるとお金のことを全く理解していなかった私たちに、
オーナーの白さんは「お金は投票のようなもの」と、教えてくれました。
そんな気づきを得ながら、まだまだ勉強をしている途中なのですが。

三浦さん 白君とは知り合いなので、紹介かと思いましたよ。

― いえいえ、ここに来たのは、
二子玉川の蔦屋にあるGOOD MEALS SHOPがきっかけです。
本を買いに行った際にお店の前でふらふらしていたら、
「このビール、すごくおいしいのですが飲んでいきますか?」と、
スタッフの方が偶然声をかけてくれて。
飲みたいなとは思っていたんですけど(笑)。

三浦さん そうなんですか。

― はい。それで、一杯だけ頼んだのですが、
それがすごくおいしくて、満足して帰ろうと思ったら
「気に入っていただけましたか?」と、再び聞いてくれたのです。
その言葉が、とてもうれしかった。
そんな体験から「ホスピタリティにお金を使いたい」と考えて、
お店を調べて三浦さんに連絡を。

三浦さん なるほど。でも、「ホスピタリティ」の話の前に、
「価値あるお金の使い方」という質問の話をしてもいいですか?
これって、面白い質問だなと思っていて。

― はい。

三浦さん そもそも、自分の中で価値があると思っている何かと
交換するための道具がお金。
だから、お金自体に価値はないですよね。

― ……。は! たしかに。

三浦さん そう考えると、「価値あるお金の使い方とは?」という質問は、
「あなたにとって価値のあることは何ですか?」という
シンプルな問いなのかと考えまして。
お金の仕組みといった角度で話すこともできるかもしれないけれど、
今回はきっとそうじゃない。
では、「価値のあることは何か?」という質問だと仮定すると、
それが、とても今っぽいなと思ったんです。

― 今っぽいというと?

三浦さん 良し悪しの話ではないですが、SNS時代の1つの感覚というか。
価値のあることは自分自身にしか決められないのに、
誰かに「いいね!」してもらうことに委ねている感じ。
もちろん、共感すること自体は素晴らしい体験だけど、
それが基準になってしまうとおかしくなる。
つまり、お金もSNSも道具なので、使い方次第なんですよね。

― あぁ三浦さん、確かにそうですね。
「価値あるお金の使い方」ということで来ましたが、
今、ちょっと衝撃を受けています。

三浦さん もちろん、政治と経済がお金を使って世の中を作っている。
大きな企業は社会への責任があると思うし、
僕ら個人が消費しているものが世の中を作っている。
例えば、みんながコンビニを使わなかったら、コンビニは無くなるんですよ。
僕らがお金を使ったものが世の中にあって、そういった意味では
白君の「お金は投票のようなもの」というのは分かりやすくていいですね。

― そうですね。つまり、「価値あるお金の使い方」という企画は、
自分の中で価値のあることを探して意思を表示して、
少しずつ世の中を作っていくことだったのですね。

三浦さん その「価値」は、人それぞれ違うということ。
その違い自体が素晴らしいことだと思うし、
「自分が何を大事にしているか」を
分かっていることが幸せだと思います。
お店はまさに僕らが大切にしている価値の集合体みたいなもので、
それを一つの選択肢として、街に提案しているつもりです。

GOOD MEALS SHOP

「花を売ることが得意な花屋」と「花が好きな花屋」

― ところで、「お金は価値と交換するための道具」ということですが、
道具として切り取ると、三浦さんはどんな使い方をしていますか?

三浦さん 例えば、僕は車には乗らないのですが、
時間を得るために積極的にタクシーには乗るタイプです。
歩くのも好きなので、時間がある時はかなりの距離を歩くし、
むしろ旅行のときは目的地までできるだけ時間をかけて行きたいので、
シチュエーションによって使い分けている感じですが、
時間は与えられ、限られたものですからね。
あとは、迷った誘いは行くけれど、迷ったモノは買わない。
お金で買えるものは取り戻せるけれど、その日の誘いは買い戻せないから。
そんなマイルールです。

― 取り戻せない時間を大切にしているということですね。

三浦さん はい。それから、別のシンプルな価値観としては、
僕は「花が好きな人の花屋」で花を買いたいし、
「パンが好きな人が焼いているパン」を買いたいです。

― その考え方には、とても賛同します。

三浦さん そういったときにね、
「花を売ることが得意な花屋」が増えてくることがある。
そうすると、「花が好きな花屋」が遠い場所にしかなくなったり、
安いものが選べなくなったりすることがあるかもしれない。
でも、僕は花を好きな花屋が街にあったら素敵だと思う。
だから、そこでお金を使います。

― まだ私には、三浦さんのように自分の価値観を
はっきりと伝えることができません。
でも、「GOOD MEALS SHOPでお金を使いたい」と思ったことは、
自分の価値観を見つめる上でのヒントになりそうです。

三浦さん そうだったら、うれしいな。
今日は店での会話がきっかけで来てくれたということでしたが、
僕らは必ず声をかけるように決めているわけではないので、
担当したスタッフがおすすめして「どうだったかな?」と思って、
シンプルに表現しただけなのかもしれない。
ただ、その中に大事なヒントがあるのかもしれないですね。
幸せって簡単なことかもしれないし、
さりげないほど、心に残るものがあると思います。

― 実は今日、お話を聞く前までは
「ホスピタリティを生み出すためのコスト」についても、
質問しようかと考えていたのですが、それも違うように思えてきました。

三浦さん もちろん、ホスピタリティを高めることは考えていますが、
コストをかけるというよりは時間を使って問い続け、話し合うことですね。
僕がスタッフに対して、最初に話すのは2つだけです。
1つは、お客さんの顔を覚えること。言い方を変えると覚えてもらうこと。
もう1つは、家に大好きな仲間が来たときにする、
それと同じことをお客様にしてほしいということ。
花を買ってみようか、どこに座ってもらおうか、玄関まで迎えにいこうか。
不器用でもいいから、そういうことです。

― GOOD MEALS SHOPは、どんな価値観を持っているのですか?

三浦さん なるべくカラダに良いものを、できるだけ手作りしよう。
コンセプトとしては、そういったテーマがあって、
ケチャップやアイス、ナゲットなど身近なものから手作りするお店です。
ここで、「なるべく」とか「できるだけ」という言葉を使っているのは
僕らにとって大事なことなんですが。

― どういうことですか?

三浦さん 特に震災以降ですが、食の安全に対して
ナーバスになっていたり、不安が強くなったりしている人もいると思う。
でも、僕らにとって、食の時間は「安心して楽しく過ごす」という時間。
それが「100%こうしなければいけない」と決めた瞬間に、
疲れてしまったり続かなくなってしまったりするものです。

― だから「なるべく」「できるだけ」なんですね。

三浦さん 大事なことは、今よりちょっとでも良くしていくこと。
自分たちの基準を常にアップデートし、学びながら、
お客様には楽しい時間を過ごしてもらいたいと考えています。
そして僕らが考える楽しい食の時間は、
家族や、好きな人や、大切な仲間と安心して
ご飯が食べられる場所であるということ。
もちろん一人で来る方には、僕たちがそんな仲間の一人でありたいと思う。

― その一人になってもらえたから、ここに来たのかもしれません。

GOOD MEALS SHOP

お店を営むことに、お金を使う

― 話をしていて聞きたくなってきたことがあります。
三浦さんの中で、最もお金を使っているのは「お店をつくること」ですね。
店を営むことに、どういった価値を感じていますか?

三浦さん 僕も、こういった質問をもらって、
自分にとっての価値は、店を作ることなんだなぁとあらためて思いました。
初めて店を作らせてもらったのは、
高円寺のマーブルというカフェで24歳のとき。
1999年の夏の終わりからコンセプトを作り始めて、オープンしたのが2月。
そのころは毎日、駒沢公園を通り仕事に行っていたのですが、
ふと気づいて周りを見たら、木が枯れて落ち葉になっていた。
夏から秋になって紅葉していたのに、冬まで気づかなかったんですね。

― 夢中だったのですね。

三浦さん はい。全く周りが見えていなかった。
それから15~16年ほど経て、去年は3か月続けて店舗を立ち上げたんです。
自分の限界を超えるくらいで「40代、結構大変だな」って思いながらも、
「新芽が出てきたな」とか、「つぼみが大きくなってきた」と、気づけた。
24歳のときよりも大変なことをしているのに、そういった周りのことや、
スタッフの表情の違いや悩みにも気づくことができたんです。
ちょっとは、成長したのかなって思いました(笑)
店を通して体験した素晴らしいことも、大変なことも、
僕にとってはかけがえのないものです。

― 三浦さんにとって大切なこと、教えてもらえてうれしいです。
今日はありがとうございました。
この後は、お店で自分にとって価値ある時間を過ごしていきます。

三浦さん お店での過ごし方はさまざまですが、
昼間からビールが飲めるお店なので、今日はランチプレートと一緒に
クラフトビールか、クラフトジンはどうですか?
ジンは90種類以上そろえているので、おすすめです。
デザートには手作りのアイスキャンディを食べてもらおうかな。

GOOD MEALS SHOP

GOOD MEALS SHOP渋谷で過ごした
本日の「価値あるお金の使い方」
¥4,412(2人分)

  • コンビーフのサンドイッチ
    塊肉からじっくり時間をかけて仕上げたコンビーフに
    手作りマヨネーズを添えたサンドイッチのプレート
  • ベジタブルプレート
    3種類の手作りディップと2種類のパンに加え
    デリやサラダがのったプレート
  • ニューヨークチーズケーキのアイスキャンディ
    「親しみやすいものから手作り」をということで、
    GOOD MEALS SHOPの定番、アイスキャンディを食後に。
    ザクザクのクランチがたっぷり
  • フルーツコブラー
    シナモンの効いたフルーツと温かいサクサク生地を
    冷たいアイスクリームと一緒にいただく
    「アメリカ南部の伝統的なスイーツ」だそう
  • ジントニック
    お店には90種類を超える少量生産のジンを常備。
    「クラフトビールと同様に、ジンも素材回帰の流れで
    スモールバッチのものがたくさん出てきている」と三浦さん

※渋谷本店のメニューです


お金自体に価値はない。
自分の中で価値があると思っている何かと
交換するための道具にすぎない。
そして、自分が大事にしているものは何か。
それに気づくことが幸せなこと。

いつのまにか、自分自身に問いかけることを忘れて、
誰かの価値観に頼っていることに気付きました。

じゃあ、何が大事かなと考えながら食べたランチプレート。
手作りコンビーフのサンドイッチが絶品で、
今のところ頭の中は「コンビーフ」でいっぱいです。

帰り際に、時間に余裕があれば花を買って帰ってほしいと、
「花が好きな花屋」を2軒、教えてもらいました。
何でもない日の花を買って、帰ります。

GOOD MEALS SHOP

場所 東京都渋谷区東1-25-5
営業時間 ランチ
12:00-16:00(LO 15:00)
ディナー
18:00-24:00(LO 23:00)
定休日 日曜
公式サイト http://flyingcircus.jp/

( about DINER )

「どこで、だれと、なにを食べようか?」

DINERは「食事の時間」をテーマにしたウェブマガジンです。2014年春、Food & Design Postというニュースサイトとしてスタート。2016年春のリニューアルを経て、現在は東京の飲食店取材を中心に活動しています。2017年春には、ノンアルコール飲料ブランド「SHE LAUGHS」も始めました。