DINER ( Web Magazine )

May 2017

「別辛」が基本の盛岡冷麺!
食べ方にこだわる岩手県のローカルフード

category / Interview
( 2016/05/16 )

地方出身、東京在住のクリエイターに、
東京に来て「え、ナイの?」と驚いた
ローカルフードを聞く企画「TOKYO Nai Nai! 46」。

岩手県出身のクリエイターを探していたところ、
県庁所在地、盛岡市出身という女性デザイナー、
川村唯さんに出会うことができました。

都内でローカルフードが食べられるお店を
川村さんにメールで紹介していただき、
着いたところは銀座の「ぴょんぴょん舎」。

都会の街並みが窓に映る高層ビルの中で、
宮沢賢治の物語をイメージしたモチーフが各所に施された
ゆったりとした空間が広がるお店です。
さあ、今日はどんな「ナイもの」が見つかるでしょうか?

川村唯さん川村唯さん 岩手県盛岡市出身/東京都世田谷区在住。職業はデザイナー。ウェブと紙それぞれのデザイン会社勤務を経て、現在はフリーランスで活動中。ウェブデザインをメインに、グラフィックデザインやアプリのUIデザインまで幅広く手掛ける。

川村唯さん

冷麺でお腹を満たして、飲みに行く

― 川村さん、はじめまして。
今日は、「ぴょんぴょん舎」に連れてきていただきました。
こちらは焼肉屋さんのようですが、
銀座で焼肉というと、ちょっとドキドキしますね。

川村さん 銀座で焼肉ですね(笑)
今日は、冷麺を食べようと思っています。

― わ!楽しみです。オーダーを待ちながら
冷麺にまつわる思い出、聞かせてください。

川村さん 私が学生のころなんですが、
「冷麺祭り」というイベントが始まりました。
こちらのぴょんぴょん舎や、
焼肉冷麺ヤマトなどのお店の冷麺が、
半額のワンコインくらいで食べられるんです。
このイベントを理由に、友達みんなで集まっていましたね。
冷麺は、盛岡の人にとってはすごく日常的な食べ物です。

― 冷麺いこうぜ!みたいな?

川村さん はい。学生のころはお金が無いから、
「まずは冷麺でお腹を満たしてから、飲みに行こう!」って。
ランチにもしょっちゅう食べに行きますし、
東京で言うラーメンみたいな存在です。

― とりあえず満腹にしてから飲みに行くって、ありましたね。
川村さんは上京して「東京に無かった!」と気づいたものはありますか?

川村さん 「別辛」です。

― べつから、ですか?

川村さん 盛岡では「別辛」と言って冷麺とキムチは別で注文します。
東京の人は、中辛や甘口と注文するのが普通みたいで、
すでにキムチが入った冷麺が出てくるんですよ。

― 入っている状態が、当たり前かと思っていました。

川村さん いろいろな食べ方があるんですが、
私はまず、辛みを入れないでスープを楽しみます。
その後に、徐々にキムチを入れていくんですね。
人によっては、4つくらい別辛を頼んで、
真っ赤なスープで食べる人もいます。
譲れない、マイスタイルがあるんです。

冷麺

小岩井農場のレトロなパッケージデザイン

― 川村さんは東京でデザイナーとして活動していますが、
デザイナーになった目で故郷の岩手を振り返ったとき、
何か目に留まるものはありますか?

川村さん そうですね、小岩井農場の商品かな。
バターや牛乳が有名なんですが、
先日、瓶に入った「小岩井純良バター」の復刻版が出ていて、
つい手に取って買ってしまいました。

― どんなところにひかれたのですか?

川村さん 地元にいるときは意識していなかったのですが、
古めかしいフォントのレトロさがかわいいと思いました。

― 小岩井農場は、地元では身近な存在ですか?

川村さん 会社自体は郊外にあるので
それほど身近な存在ではないのですが、
スーパーでは日常的に見かける商品なので親しみがあります。

― そうなんですね。
さぁ、冷麺がのびないうちに、食べましょう。

川村さん そうですね! 連休に帰れなかったので、
ぴょんぴょん舎の冷麺が食べられてうれしいです。
ちなみに冷麺以外に、わんこそば、じゃじゃ麺も有名ですよ。

― 盛岡の三大麺ですね。

川村さん じゃじゃ麺なら白龍(パイロン)
わんこそばは、東家(あずまや)が有名。
でも、県民が日常的に食べるのは冷麺です。

川村唯さん

刺激を与え合う、古くからの仲間たち

― 冷麺、おいしいですね。
肉を焼く前に、まず冷麺からという
今日も学生スタイルで(笑)

川村さん いいんです(笑)
まずは、辛みを入れないでスープだけ味わってください。

― はい! ちなみに川村さんはいつ上京したのですか?

川村さん 地元の専門学校を出て2年働いてから、
22歳のときに上京しました。

― 上京の背中を押したのは?

川村さん 当時、専門学校の仲間で
先に東京に出ていた子がいたのですが、
いつの間にかデザインのイベントを一緒にやるようになって。
それで月に1回くらい、岩手から東京に通っていたんです。

― 仕事をしながらですか?

川村さん はい。仕事帰りに夜行バスに飛び乗って、
土日を東京で過ごして、帰りも夜行バスで。
朝に盛岡に着いて、そのまま仕事に行っていました。
今考えると、何でできたんだろうって思いますけど。

― すごい体力ですね。

川村さん もう、頼まれたってできないですけどね。
当時のそんな仲間たちとは今でもつながっていて、
それぞれデザイナー、イラストレーターとして独立したり、
映像作家になったりと頑張っています。

― ものづくりを通してできた仲間って、いいですね。

川村さん 地元にも学生時代のコミュニティがあるので、
今でもよく岩手に帰っていますよ。
仲間たちに会う機会は減りましたけど、
自分も頑張らなきゃ!って、今でも刺激を受けています。

ぴょんぴょん舎 GINZA UNA

本日のお店「ぴょんぴょん舎 GINZA UNA」代表 邉龍雄さん
本日はおいしく味わっていただけましたか?
冷麺は別辛で、キムチをスープに溶いていただきます。
そうすると、酸味、甘み、辛みが加わって、
何も入れないときとは違うスープの味になっていきます。
分量を調節しながら加えていくことで、
何段階かの味の変化が楽しめるのです。
最後は、卵の黄身を溶くとまた違った味わいが。

家庭に持ち帰ることができる冷麺セットもありますが、
こちらはお店で煮込んだスープと生麺が特徴です。
他の商品であるような水で溶く粉のスープや乾麺ではなくて、
限りなく自然で、本物に近い冷麺が楽しめます。

冷麺以外には、チヂミもおすすめ。
ラーメンの世界には「ラーメンと餃子」がセットになりますが、
同じように、「冷麺とチヂミ」の相性はいいです。
ぴょんぴょん舎のチヂミは野菜がたっぷりで、生地はつなぎ程度。
ふきのとうのチヂミ、桜えびのチヂミ、松茸のチヂミなど、
季節に合わせた旬のチヂミが楽しめますよ。

ぴょんぴょん舎 GINZA UNA

場所 東京都中央区銀座三丁目2-15
ギンザ・グラッセ 11F
営業時間 月~土 11:00~23:15(LO 22:30)
日・祝日 11:00~23:00(LO 22:00)
定休日 1/1のみ休業
公式サイト http://www.pyonpyonsya.co.jp/

( about DINER )

「どこで、だれと、なにを食べようか?」

DINERは「食事の時間」をテーマにしたウェブマガジンです。2014年春、Food & Design Postというニュースサイトとしてスタート。2016年春のリニューアルを経て、現在は東京の飲食店取材を中心に活動しています。2017年春には、ノンアルコール飲料ブランド「SHE LAUGHS」も始めました。