DINER ( Web Magazine )

March 2017

国道に現れるアイススタンド「ババヘラ」
秋田県民の夏限定ソウルフード

category / Interview
( 2016/06/30 )

地方出身、東京在住のクリエイターに、
東京に来て「え、ナイの?」と驚いた
ローカルフードを聞く企画「TOKYO Nai Nai! 46」。
今回お話を伺うのは、鈴木健太郎さん。
北海道、青森、岩手に続く秋田県出身のデザイナーさんです。

たっぷりと水分を含んだ空気が充満する梅雨の夕刻、
集合場所は「AKITA DAINING なまはげ銀座店」。
約束の17時に到着すると、
お店の前に佇む一人の男性を見つけました。
恐らく、鈴木さんです。

フードを通して見つめる東京と秋田のカルチャー。
さて、今日は何が見つかるでしょうか?

鈴木健太郎さん鈴木健太郎さん 秋田県秋田市出身/東京都中野区在住。広告代理店を経て独立。同じくデザイナーの友人と2人でユニットを組みフリーランスとして活動中。現在は、紙媒体のデザインをメインに手掛ける。

AKITA DINING なまはげ

地元のことって、意外と知らない

― すみません、鈴木さんですか?

鈴木さん あ、そうですそうです。こんにちは。

― はじめまして。今日はよろしくお願いします。

鈴木さん よろしくお願いします。

― なまはげのお店、ご紹介ありがとうございます。
古民家をそのままビルの中に入れたような、不思議なつくりですね。
よくいらっしゃるんですか?

鈴木さん はい、何度か友人を誘ってきています。

― そうなんですね。今日は、鈴木さんの中にある「ローカルフード」を通して、
東京と秋田のことを考えてみたいと思っています。
まずは、乾杯。

鈴木さん 乾杯(笑)

― 鈴木さんはいつ、上京されたのですか?

鈴木さん 18歳まで秋田にいて、大学への進学で仙台に。
大学ではプロダクトデザインを学んで、
その後、広告を学ぶための専門学校に入るために東京に出てきました。

― そうすると、秋田の記憶は18歳までということですね。
早速ですが、秋田のローカルフードを教えてください。

鈴木さん きりたんぽは、食べますね。
お正月には母親が必ず作ってくれました。
年越しそばを食べた翌日に、きりたんぽ入りのそばを食べるというように。

― 炭水化物と、炭水化物ですね。

鈴木さん はい、気にせずに(笑)。

― きりたんぽ以外のローカルなソウルフードはありますか?

鈴木さん いやそれが実は、このインタビューの話をいただいて考えていたら、
秋田のこと、よく知らないなって気付いちゃって。

― あら?

鈴木さん 18年もいたくせに、地元のことってあんまり理解していないんですよ。

― たしかに、高校生くらいまでの地元の記憶って、
徒歩か自転車で動ける範囲のことなんですよね。

鈴木さん そうそう。意外と狭かったなぁって。
食べ物の話をしても、出てくるのは家庭の味だったり。
意外と、地元のことって知らないんだなぁと気付きました。

ババヘラ

ババヘラを、デザートにいかが?

― それでは大学時代は、どんな暮らしをしていましたか?

鈴木さん バイクにばかり、乗っていました。
そうだ、もしデザートも食べられるようだったら、
ここにもあるので注文しようと思いますが、
ババヘラを知っていますか?

― ババヘラ、ですか?

鈴木さん 夏になると、国道沿いにパラソルを広げ、
アイスを売っているおばさんが出てくるんです。
注文すると、シャーベットのような軽めのアイスを、
ヘラを使ってコーンにのせてくれて。

― 初めて聞きました。
ババヘラは、秋田の人にとっては当たり前の光景ですか?

鈴木さん そうですね。
秋田を出るまで、全国どこにでもあると思っていました。
大学時代、仙台に住んでいたころに
「そういえば、ババヘラが無いぞ?」と、
徐々に、おかしいなあと思いはじめたんですが。

― いつ、秋田だけのものだと確信を?

鈴木さん 仙台から地元へ帰るときの移動もバイクだったのですが、そのとき。
宮城と秋田との県境に、一つ峠があるんですね。
宮城側の国道沿いには誰の姿も見えなかったのですが、
とある夏、県境の峠を越えたときに、見つけたんです。
そこで、「やっぱりか!」って(笑)。

秋田料理

帰れる場所があることの安心

― 東京では、どの街で遊んでいるのですか?

鈴木さん 今は中野に住んでいるのですが、遊ぶのは新宿、中野、荻窪あたり。
新宿だとゴールデン街の「チャンピオン」というお店がおすすめで、
新宿で飲んだあとに中野に帰って2軒目に、という感じ。

― 今、東京にいるからこそ気付く秋田の魅力はありますか?

鈴木さん ドライブをしていて「あ、こんなところがあるんだ!」と発見したのは
角館(かくのだて)という場所にある武家屋敷。
川沿いにしだれ桜が咲いていて、とてもきれい。
高校生のころは興味もなかったし、知りませんでした。
みちのくの小京都と言われているようです。

― 角館以外に離れてみて、初めて見えてきたものは?

鈴木さん うーん、何もないところなんですよね。
ただ、帰れるところがあるというだけでも安心するというか。
料理もお酒も空気もおいしくて自然はたくさんある。
仕事があれば、今すぐにでも帰るかもしれません。

― いずれ、秋田に帰る予定を?

鈴木さん 仕事が一段落したら、いずれ秋田で過ごしたいと思っています。
40代~50代で仕事をやりきったら、秋田でゆっくりと暮らせたらいいな。

秋田料理

本日のお店「AKITA DINING なまはげ銀座店」店長 畑山直太さん
「スタッフの6割が秋田県出身です」という、秋田料理専門店。
店長の畑山直太さんも、秋田県湯沢市出身。
お店のおすすめを伺うと「きりたんぽは鍋と焼きから選べますし、
ハタハタ、いぶりがっこ、比内地鶏、稲庭うどんもおすすめです」と、
教えてくれました。

デザートには、インタビューにも出てきたババヘラアイスを。
席に運んできてくれた秋田県出身のスタッフの方いわく、
「秋田県内にはいくつかメーカーがあって、
レモンとイチゴ、バナナとイチゴなど少しずつ味が違います」とのこと。
AKITA DININGで出しているのは、千釜冷菓のババヘラアイス。

秋田全域でババヘラに出会うことができるのかと聞いたところ、
「私はこのあたりでも見たことがあります」「僕はこの岬でも」と、大盛り上がり。
数十種類と豊富にそろう秋田の日本酒とともに、そんな楽しい話も聞けるお店です。

AKITA DINING なまはげ銀座店AKITA DINING なまはげ銀座店

場所 東京都中央区銀座8-5-6 中島商事ビル9F
営業時間 月~木・土・日 17:00~23:30
金曜 17:00~4:00
※4月~11月迄 全曜日 17:00~23:30
定休日 年始
公式サイト http://www.akita-namahage.jp/ginza/

( about DINER )

「どこで、だれと、なにを食べようか?」

DINERは「食事の時間」をテーマにしたプロジェクトです。はじまりは、2014年春にスタートしたFood & Design Postというニュースサイトでした。2年間にわたるウェブサイトでの情報発信を経て、2016年春に新しいプロジェクトとしてリニューアルをしました。人、仕事、未来について考え、コンテンツ配信やものづくりを行い、新しい価値観や喜びを共有したい。食事の時間を通して、そんなことを形にしながら活動していきます。2017年春には、少量生産のノンアルコール飲料ブランド、「SHE LAUGHS」を設立しました。