DINER ( Web Magazine )

September 2017

フェアトレードの問題点を知る一冊。
『フェアトレードのおかしな真実』

category / Books
( 2015/02/09 )

フェアトレードのおかしな真実

今回のチョコレート特集「Bean to Bar カカオ豆からつくるチョコレート」は、いかがでしたか? お気に入りのチョコレートをひとかけらに、温かいコーヒーを一杯。そして例えば、ノラ・ジョーンズの「Shoot The Moon」などをバックミュージックにしたブレイクタイムに、おすすめしたい本を一冊ご紹介します。

豆にこだわるビーントゥーバーは、生産者とのより良いパートナーシップが必要不可欠。一部のメーカーでは、自社農園を運営しカカオ豆の栽培を行っているところもあるほどです。このように、カカオ豆というチョコレートの本質を問うビーントゥーバーについて調べていくうちに、自然と、その生産地である中南米、西アフリカ、東南アジアなどの生産者の状況や、取引の問題点について興味がわきました。そんなときに手にとった一冊です。

2013年発行の『フェアトレードのおかしな真実』は、フェアトレードをはじめとした「エシカル(倫理的)」なことを、商品の「売り」として商業的に利用し、それに満足する消費者の状況に疑問を持ったジャーナリストのコナー・ウッドマン氏による書籍。ウッドマン氏は、「特定のコーヒーを買うことでだれかの暮らしを改善することなど、そもそも可能なのだろうか?」と疑問を抱き、生産地の現状を自分の目で確かめるために一年間の旅に出ます。

その旅で得た事実をまとめた本書には、レストランチェーンが大量輸入するロブスター漁や、電子機器の製造を請け負う中国の工場など、著者が実際に目撃した風景や現地の人との会話が、ありのままに描かれています。チョコレートの話題で言えば、フェアトレード運動の先駆者とも言える、チョコレート会社グリーン・アンド・ブラックスの共同創立者クレイグ・サムズとのエピソードや、「のんびりコーヒーを飲んだりチョコレートを食べたりしているだけで世界を変えられるなんてだれも思っていなかったけど、どうやらできるみたいだな」と唱えるフェアトレードの活動家を前に、「世界を変えるにはたぶん数億枚のフェアトレードのチョコを食べるよりはもう少し努力が必要だと思うぞ」という、リアルな心の声までがそのままに。

たしかに、世界を変えることは簡単ではないでしょう。でも、テレビを消して、SNSのチェックを一次中断して、チョコレートを食べながらこの一冊を手に取ること。そして、誰かが命がけで目にした世界の現状を知ることは、そう難しいことではないのかもと、私たちは思います。(Food & Design Post編集部)


『フェアトレードのおかしな真実』

英治出版刊
コナー・ウッドマン(著)
松本裕(訳)
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( about DINER )

「どこで、だれと、なにを食べようか?」

DINERは「食事の時間」をテーマにしたウェブマガジンです。2014年春、Food & Design Postというニュースサイトとしてスタート。2016年春のリニューアルを経て、現在は東京の飲食店取材を中心に活動しています。2017年春には、ノンアルコール飲料ブランド「SHE LAUGHS」も始めました。