DINER ( Web Magazine )

December 2017

インテリアが丸ごと廃材のビアバー。
東麻布のKAMIKATZ TAPROOM

category / Shops
( 2016/04/25 )

徳島県にある小さな町、上勝町。
人口約1600人というこの町のことを知ったのは、
どこかで読んだ「上勝百貨店」という日用品店の記事。
ごみを出さない「ゼロ・ウェイスト」という理念を打ち出し、
食材や日用品を量り売りで販売するというお店です。

海外のお店のような、量り売りのシステムに興味を持っていたのですが、
そんな上勝百貨店がリニューアルをするという噂を聞き、
楽しみに待っていた2015年の5月。
RISE & WIN Brewing Co. BBQ & General Storeと名を改め、
その地にリニューアルオープンした姿はなんと、
クラフトビールのブルワリーを併設したジェネラルストアでした。

さらに2016年4月には、東京の東麻布に
RISE & WIN Brewing Co. KAMIKATZ TAPROOM
(カミカツタップルーム)という名のビアバーが開店。

これはビール好きにはうれしいニュースでしたが、
上勝町の「ゼロ・ウェイスト」という理念は、
どのような新しい形で表現されているのでしょうか?

新緑が芽吹きはじめた休日の午後、
「さぁさぁビールのおいしい季節がやってきましたよ」と
独り心の中でつぶやきながら、麻布のお店を訪ねました。

新居章央さんスペック 徳島県を拠点とする食品衛生のコンサルティング会社。コンサルティング事業以外に、「生きている海苔」といった商品開発や、町おこしのブランディング事業も手掛ける。お話を伺ったのは、Pit Masterの新居章央さん。東京で飲食やサービス関係のキャリアを積んだのちに、故郷の上勝町にリターン。現在、店舗オープンのため再び上京し、上勝町の素晴らしさを丁寧に伝えている。

KAMIKATZ TAPROOM

東京タワーのふもとで「ゼロ・ウェイスト」を伝える

都営大江戸線の赤羽橋から徒歩数分。
地図を見ながらお店を探していると、
ズズズッと、その根元まで見えるほど間近に迫ってきたのは、東京タワー。
大迫力の背景にしばらく圧倒されつつ、ふと我に返ると、
「KAMIKATZ TAPROOM」と書かれた木の看板が目に入りました。

にぎわうホールがガラス越しに見える、開放感あふれる店舗デザイン。
ドアを開けると、カウンターには直径120cm近くもある丸太が
ドンと置かれています。

「この丸太は、間引きで伐採された木材を上勝町から運んできたものなんです」
と、教えてくれたのは、Pit Masterの新居章央さん。
新居さんは、店舗を運営する株式会社スペックのメンバー。

このスペックとトランジットジェネラルオフィスがタッグを組み、
「ゼロ・ウェイスト」の理念を楽しく継続的に伝える場所」として、
8台のビアタップがズラリと並ぶ、このビアバーをオープンさせたそうです。

KAMIKATZ TAPROOM

町の議会で使われていたデスクや廃材を使った内装

一番奥のテーブル席に着き店内を見渡すと、
「町の議会で使われていた」というデスクやさまざまな形の椅子、
そして廃材を組み合わせたシャンデリアや窓枠が目に入ります。
モダンな中に、ゼロ・ウェイストの理念がしっかりと織り込まれた、
ほかではちょっと見かけることの無いインテリアデザイン。

設計は、中村拓志&NAP建築設計事務所が担当。
ロゴなどのグラフィックデザインは鈴木直之さんが手掛けています。

議会で使われていたデスクには「14」などの議員番号まで残っていて、
「上勝町の空気感が、自然と伝わる店だと思います」という
新居さんのコメントにも納得。

さらに「4種類のビールが楽しめるセットはいかがですか?」
と、おすすめのテイスティングセットをオーダーすると、
ビールが注がれるタンクのハンドルが、なんと鹿の角でした。

KAMIKATZ TAPROOM

東京の麻布から発信する「町おこし」

さてさて、カラカラな喉で4種類のビールを楽しみましょう。
フルーティーなルーヴェンホワイトからはじまり、
黄金色のペールエール、漆黒のポータースタウト、
そしてホップが香るIPAを次々に堪能します。

ちょっといい気分になりながら、
町おこしに携わる醍醐味について、感想を聞きました。

「先人から受け継いだものというのは、
無くしてはいけないと自然に思うものです」と、新居さん。

「それに、町おこしの事業というのは、
厳しいプロジェクトマネジメントが必要とされる仕事。
東京から地元に戻っても、再びキャリアを積み重ねられることがうれしい。
ゼロ・ウェイストの理念を知らない人や、
ほんの少し上勝町に興味を持ってくれている人に、
上勝町のファンになってもらいたいと思っています」


町の廃材を使ったインテリアの中でクラフトビールを楽しみながら、
「ゼロ・ウェイスト」という理念を知るビアバー。
何気なく聞こえてきたスタッフとお客さんの声に耳を傾けると、
「これは上勝町の木材なんですよ」などと、自然に町の会話が生まれている様子。
そんなシーンに、コンセプト表現のクオリティの高さを感じました。

いつのまにか店の外は、東京タワーが光を放つ大人の時間に。
テーブルには、徳島県産の骨付き阿波すだち鶏のオーブン焼き、
R&Wスペアリブ、鳴門金時のフレンチフライなど、
これはビールに最高でしょうというお料理がズラリ。
いい夜は、これから始まりそうです。

RISE & WIN Brewing Co. KAMIKATZ TAPROOM

場所 東京都港区東麻布1丁目4-2
THE WORKERS & CO 1階
営業時間 月〜金 12:00~15:00、
18:00〜23:00
土・祝 18:00~23:00
定休日 日曜
公式サイト http://www.kamikatz.jp/

( about DINER )

「どこで、だれと、なにを食べようか?」

DINERは「食事の時間」をテーマにしたウェブマガジンです。2014年春、Food & Design Postというニュースサイトとしてスタート。2016年春のリニューアルを経て、現在は東京の飲食店取材を中心に活動しています。2017年春には、ノンアルコール飲料ブランド「SHE LAUGHS」も始めました。